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Vol.31 新潟麦酒株式会社

大手4社による寡占状態が長く続いていた国産ビール業界。酒税法によって年間最低製造量が2,000KL(キロリットル)以上ないと造ることが許可されていませんでした。しかし1994年4月の規制緩和によってそんな状況が大きく変わることになります。酒税法改正によって年間最低製造量が一気に60KLに引き下げられ、これにより小規模な会社や個人もビール製造業に参入することが可能になりました。
この規制緩和以降、新規に参入した年間製造量が2,000KL未満の小規模なブルワリー(大手4社以外)によって造られたビール、それが「地ビール」です。ほんの2,3年の短期間の内に、一時は全国各地に200を越えるブルワリーがブームに乗って誕生しましたが、2000年に近づく頃から、高い販売価格や、小さな経営規模など、ネガティブな要因が災いして淘汰されるブルワリーが多くなり、地ビール業界のかつての勢いも、急速に沈静化して行きました。
そんな折、業界がいわば「向かい風」にさらされ始めた1997年12月、宇佐美健社長個人の手によって、「新潟麦酒」は設立されました。今では「クラフトビール」という呼び方が浸透している、かつての「地ビール」。今回はそのお話です。

企業概要

社名

新潟麦酒株式会社

設立

1997年12月

資本金

1600万円

所在地

新潟県新潟市西蒲区越前浜5120

事業内容

ビール及び発泡酒の醸造・販売

宇佐美社長に聞く

「押し問答」から始まったビール造り

コンシェルジュどのようなきっかけでビールの製造を始められたのでしょうか?

宇佐美社長もう昔の事で時効だと思いますからお話しますが、たまたま知り合いが造った美味しい手作りビールを飲む機会がありました。それがきっかけと言えばきっかけと言えます。法律が以前とは変わったこともあり、自分でも造ろうと決心して、役所に申請をしました。しかし、残念ながら、それからほぼ2年間、なんの音沙汰も無い状態が続きました。業界の状況が芳しくなくなってきた事もあり、個人での申請は、あまりいい顔はされなかったと思います。そこで知り合いの税理士に依頼して役所に面会を申し込み、なんとか話を聞いて貰いましたが、最後に相手が根負けして「そこまで仰るなら応援します」と言って貰えるで、2時間以上も押し問答をしていました。閉鎖するブルワリーが増えていく中、失敗する前に諦めて貰いたかったのだと思います。しかし、そう言われると尚更、「絶対やる」という言う気持ちが強くなり、最後まで諦めなかったというのが事の始まりでした。

コンシェルジュ:現在のビールの製造や販売の状況はいかがですか?

宇佐美社長:すでに軌道に乗っているルーティンワークには、もうタッチしなくてもいい状況になっているので、自分はもっぱら新規の開拓だけを担当しています。例えば海外、ロシアやイギリス、アメリカやカナダ、アジアであれば、タイやベトナムなどです。自社でカバーしきれないところは国内のOEMなんかも利用して対応しています。こうして見るとほぼ世界中に出て行っている状況です。

 

「アイディア」を活かした「養豚」「和牛飼育」へ

コンシェルジュ:ビール製造のほかに、農業法人として養豚や和牛飼育、それに伴う加工食品のハムやソーセージなども作っていらっしゃいますよね?

宇佐美社長:ビールを製造する時に出る「しぼりかす」をなんとか有効利用したいと常々思っていました。この「しぼりかす」と、他から出る「食品の残渣」だけを使って育てることを考えました。配合飼料は使わなくても、美味しい肉が作れると言うことを実証したかったのです。今は胎内市などで養豚をしていますが、匂い対策など、周りとの関わり合いを考えると、残念ながら日本国内ではもうこの辺が限界だろうと思います。今はタイ、ラオス、ベトナムで、同じ方法でやり始めています。特にベトナムの外食産業には、より高級で美味しい肉へのニーズが顕著なので、有望な市場として期待しています。

コンシェルジュ:では、将来、日本の養豚や和牛飼育はどうなっていくと思われますか?

宇佐美社長:先ほどもお話しましたが、周辺住民や環境への配慮とか、日本の厳しい規制の中では、コストが掛かりすぎることもあって、正直言ってこれ以上拡大するのは、国内では無理な状況です。将来的にもTPPやFTAなどの影響で、国内の「養豚」や「和牛飼育」は、間違いなく大きな打撃を受けると思います。そんな中でも、「松阪」などの超高級ブランドと、飼料の確保や調達の方法に独自性のある「私たちの企業」は、生き残って行けると思っています。

 

コンシェルジュ:では、最後に「これだけは仰りたい」ということはございますか?

宇佐美社長:ビールを造ってほぼ20年以上経ちますが、新潟だから、「新潟の地ビール」を造ろうと思ったことは一度も有りませんし、「新潟で造るから・・どうだ、こうだ」というつもりも有りません。実際、原料の中で地場の物と言ったら、うちでは「水」くらいです。ビールはワインとは違います。生産地のテロワールや気候風土を想像させてくれる年代物のワインの奥ゆかしさとは、ほぼ無縁の物だと思います。自分にとっては「地ビール」ではなく、「自ビール」、つまり自分の好みの味を体現することが一番重要なことだと思います。

インタービューを終えて:コンシェルジュのひとこと

人一倍、「自由」の価値を尊ぶ人が、なぜか「酒造」「養豚」「和牛飼育」という最も「規則」の遵守を要求される仕事をしている。その枠の中であらゆる可能性を見出すために、知恵を絞って格闘している。そんな硬派なイメージの宇佐美社長ですが、子羊の可愛い産声を聞いた途端、ラム肉としての出荷を諦め、その後、ペットとして何頭も面倒を見ているやさしいお人柄でもあります。ちなみに新潟麦酒では、コンシェルジュが紹介させていただいた方がお二人、新潟にUターンの後、採用に至り、現在、活躍されています。

求人案内 

求人ID:377 《製造職

業務内容 弊社の製造の飲料品、及び食品の製造及び製造に係る作業を行っていただく募集です
・ビールのビン、缶詰め作業
・ビン洗い
・ラベル貼り
・豚肉加工、他
※作業は機械による作業と手作業の両方があります
必要スキル 普通運転免許(通勤用)
想定年収 200万~300万
勤務時間 9:00~18:00
年間休日 100日
福利厚生 加入保険:雇用、労災、健康、厚生
賞与:なし 昇給:有 通勤手当:上限5000円