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Vol.36 “直感と行動力で未来を切り拓く”クリエイティブ業界から長岡の日本酒メーカーへ

プロフィール

Yさん(40代)京都府出身

京都市生まれ。大学卒業後、上京。広告制作会社などを経て、2015年、妻の実家がある新潟に移住。東京の下町に住んだことをきっかけに、江戸っ子の「粋」の美意識に興味を持ち、江戸文化の愛好家に。江戸から昭和にかけての日本史が好き。

京都から東京。そして新潟へ

 

生まれも育ちも京都です。大学卒業後、東京に出て広告制作会社のディレクターとして活動してきました。クライアントや広告代理店から依頼された仕事、またライフワークである江戸文化の探究活動をフルに生かし、大相撲の広告やイベント企画を手掛けたりと、刺激的な日々を送っていました。

Iターンを志したのは、新潟出身の妻と結婚したことがきっかけです。正直な話、東京での生活に対する違和感は特にありませんでした。むしろ仕事やプライベートも充実しているという実感がありました。ただ、家族のこと、特に子育てのことを考えると「自分たちが今後いるべき場所は、東京なのかな……」と、夫婦で話す機会が増えてきたのです。子どもを育てるなら自然が豊かでのびのびとした環境の方がいいし、実家に近い方がいいですからね。そして何よりも、新潟には、いわば「日本の原風景」がまだまだ残っている。江戸文化や日本文化が好きな私にとって、本当に追い求めているものは新潟にあるのではないか……。そこに身を置いて生活するのも悪くないんじゃないか……。このような思いに至り、新潟での仕事探しに本腰を入れて取り組み始めました。移住する2年前のことでした。

困難は、直感と行動力で打ち破る

転職活動を進めるにあたって、ターゲットを日本酒業界一本に絞りました。せっかくチャレンジするならその地域に根付いた伝統文化に関わる仕事をしたい、と思ったからです。ただ、現実は甘くありませんでした。当時、日本酒業界の求人はほぼ皆無。まずは幅広く情報収集と、新潟U・Iターンコンシェルジュをはじめ、新潟県への移住を支援するエージェントにはすべて登録し、セミナーや個別面談にもガンガン参加しました。

行きたい蔵元は「吉乃川」と決めていました。新潟県内で一番古い歴史を持つ蔵元だったからです。また、上越新幹線内で掲出していたシリーズ広告「東京新潟物語」に感銘を受けていたことも理由の一つです。

「絶対に吉乃川で働きたい」――。そう考えた私は、いわば“逆指名”のようなかたちで、さまざまなエージェントに相談。数あるエージェントのなかで積極的に動いてくれたのが「新潟U・Iターンコンシェルジュ」でした。すると、しばらくして、さまざまなネットワークを駆使し、面談の場をセッティングしてくれました。自らの直感に素直に従い、「面白そう」と思う方向に進み続ける。新潟へのIターン、望む業界への転職を実現できたのは、自分の想いとコンシェルジュのサポートが一致した結果だと思います。

現在は主に広報やブランディング戦略の仕事を手がけています。昨年は30年ぶりとなる新ブランド「みなも」や、吉乃川ファンとのつながりを拡げる「吉乃川 酒ミュージアム『醸蔵(じょうぐら)』」の立ち上げに携わることができました。もっとも、移住してから今日に至るまでの道のりは色々とありましたが、会社や地域の人々との素晴らしい出会いのおかげで、今、人生で最も充実しています。

 

日本酒を飲むことは、文化・伝統を丸ごと飲み込むこと!

生まれてから20代までの多感な時期を関西で過ごしたのもあり、常に”それって面白いのか!?”というマインドがあります。日本酒の情報を発信するときも、堅苦しさを感じることなく、とにかく楽しく知ってもらいたい。そんな思いをもって、セミナー等でも日本酒に関する話をしています。

私が何よりも伝えたいのは「日本酒は面白い!」というメッセージ。「日本酒を飲むことは、日本文化を丸ごと飲み込むことなんだ」ということを多くの方に伝え、より一層親しみをもって楽しんでもらえたらと思っています。

ライフスタイルの変化と今後の目標

新潟への移住から5年が経過した今日、地元の人々とのネットワークは広がっています。また、東京とのつながりも、こちらに来てからますます強くなりました。実際、醸造や発酵の専門家の方々はもとより、東京にいた頃には接点のなかった多様なクリエイターと一緒に仕事をする機会も増えています。吉乃川での仕事はどんどん刺激的になってきています。

私の場合、転職と移住、妻の出産という人生の一大イベントをほとんど同じタイミングで迎えたため、生き方や生活スタイルもかなり大きく変わりました。現在は新潟県内の比較的自然が豊かな地域に住まいを構えていますが、子育てをするには最高の環境です。子どもにとっては自宅の周辺いたるところが遊び場ですし、妻の実家のサポートを得ることもできますからね。それに、地域の人たちとの付き合いも楽しい。地元にどっぷりと入り込みながら、豊かな時間を共有することができています。

今後の目標は、吉乃川を愛してくださる皆様との距離をもっと近づけていくことです。具体的には、「吉乃川 酒ミュージアム『醸蔵』」を日本酒コミュニティの新たな拠点として日本酒の魅力を発信していきたい。そして、ファンになってくれた人たちと豊かなコミュニケーションを取り続けることで新潟の魅力、そして、日本の文化的な面白さを伝えていく。これが私の目標です。

Uターンを考えている人へのメッセージ

先日、東京で開催された新潟への移住・転職を考えている方への個別相談会に参加させていただきましたが、“漠然とした不安”を抱えている方が多いように感じました。例えば、「いまのままでも生きてはいける」「その一方で、新潟に生活の場を移したいという気持ちもある」「でも、次の一歩を踏み出すタイミングが見つからない」といった具合に、進むべき道を決めかねている様子の方、「エージェントに登録はしたものの、良い求人がなかなかない」とこぼされる方ですね。経験者の一人として、こうした気持ちはよくわかります。

移住の動機は人それぞれ異なるので一概には言えませんが、大切なのは、「なぜ、新潟に移りたいのか」そして、「新潟で何をしたいのか」……自分の気持ちを本当の意味で整理することだと思います。そして“待ち”の姿勢ではなく、自分からどんどん動くことです。「いい仕事が見つかってから新潟へ移ろう」と思っている限り、U・Iターンを実現するのはなかなか難しいのが実情だと思います。新潟でやりたい仕事を見極めたうえで、エージェントの力を借りながら積極果敢にアプローチを続ける。アグレッシブな姿勢が大切だと思います。

私の場合は県外から新潟に来たIターン者、つまり「よそもの」です。ただ、「よそもの」だからこそ新潟の魅力を客観的に捉えることができると考えています。それは、故郷を新潟に持つUターンの方も同様です。「外を見てきた」ことが新潟でどう役立つのかを意識することが、道を拓く一つのきっかけになると思います。